感想文 Q&A 書けないときのヒント集 25 ホーム > |
◆読書感想文を書くための Q&Aのコーナー を作りました。 こうすれば書ける読書感想文 のサイトに来られた生徒さんから頂いたメールをもとに作成してあります。(※一部、内容が古いものもあります。ご了承ください。) <書き方編> ◆1 題名はどうする? ◆2 書き出しは? ◆3 「です、ます」調?「である」調? ◆4 あらすじは書くの?書かないの? <本選び編> ◆5 どんな本を選べばいいの? ◆6 主人公の年齢は自分と近い方がいいの? ◆7 三国志で感想文は書けますか? ◆8 漱石の「心」と黒柳徹子の「トットちゃん」どっちがいい? ◆9 星の王子様では幼稚ですか? ◆10 歴史人物でも書けますか? <テーマ編> ◆11 テーマはどうやって決めるの? ◆12 盲導犬のお話なんですが… ◆13 アンネの日記で書くとすれば…? ◆14 ヒトラー暗殺の本なんですが・・・・ <作業編> ◆15 やる気が起きないんですが・・・ ◆16 本は読みましたが、感想文にしようと思ったら難しいんです。 ◆17 3〜4枚しか書けないのですが… ◆18 書きたいことが多すぎて、まとまりません。 <母親編> ◆19 小学4年生の子供に、どうアドバイスしようかと… ◆20 小学1年生の読書感想文は…(その1) ◆21 小学1年生の読書感想文は…(その2) <他ジャンル編> ◆22 主人公のいないエッセイについての感想文は? ◆23 税金作文については? ◆24 弁論作文については? <番外編> ◆25 「浦島太郎の感想文」を写してもいいですか? |
◆生徒さんから頂いたメールを参考に、Q&Aのコーナーを作りました。 <書き方編> ◆1 題名はどうする? ◆2 書き出しは? ◆3 「です、ます」調?「である」調? ◆4 あらすじは書くの?書かないの? <本選び編> ◆5 どんな本を選べばいいの? ◆6 主人公の年齢は自分と近い方がいいの? ◆7 三国志で感想文は書けますか? ◆8 漱石の「心」と黒柳徹子の「トットちゃん」どっちがいい? ◆9 星の王子様では幼稚ですか? ◆10 歴史人物でも書けますか? <テーマ編> ◆11 テーマはどうやって決めるの? ◆12 盲導犬のお話なんですが… ◆13 アンネの日記で書くとすれば…? ◆14 ヒトラー暗殺の本なんですが・・・・ <作業編> ◆15 やる気が起きないんですが・・・ ◆16 本は読みましたが、感想文にしようと思ったら難しいんです。 ◆17 3〜4枚しか書けないのですが… ◆18 書きたいことが多すぎて、まとまりません。 <母親編> ◆19 小学4年生の子供に、どうアドバイスしようかと… ◆20 小学1年生の読書感想文は…(その1) ◆21 小学1年生の読書感想文は…(その2) <他ジャンル編> ◆22 主人公のいないエッセイについての感想文は? ◆23 税金作文については? ◆24 弁論作文については? <番外編> ◆25 「浦島太郎の感想文」を写してもいいですか? <書き方編> ◆1 題名はどうする? Q.題名はどのようにつけたらいいですか? 「○○を読んで」でいいのですか? A.「○○を読んで」でも悪くはありません。ただ内容に自信があれば、ちょっと工夫してみるのもいいと思います。 ●感想文の題名には2つの役割があるように思います。1つは「内容を1語で表現する」こと、もう一つは「読者を読む気にさせる」ことです。そういう意味では非常に大切なものです。ですから出来るだけ工夫した題名にする方がいいのですが、題名以上に内容が充実していないと、読者はがっかりしますよね。「期待して読んだのに、何よ、これ!」って感じです。 ●つまり「内容」が命なのです。何を書くかも決まってない段階で「題名」のことを考えても仕方ありませんから、まず本文を書き上げましょう。出来上がった本文を何回か自分で読んでいると、その内容にふさわしい「題名」が浮かんでくると思いますよ。例えば次のようなことをふまえて考えてみましょう。
それでも思い浮かばなければ仕方ないですから「○○を読んで」としておきましょう。内容さえ充実していれば「○○を読んで」でも良い評価がもらえると思います。 ◆2 書き出しは? Q.書き出しは何を書けばいいのでしょうか? その本に出会ったことを書けばいいのですか? A.まずは「材料ノート」を作りましょう。書き出しを考えるのはその後です。 ●「その本に出会ったこと」を書き出しに使ってもいいですが、読者に少しでも「読んでみよう」という気をおこさせたいのであれば、ちょっと工夫する必要があるでしょうね。「書き出し」に何を使うかは、「材料ノート」が出来上がってから考えましょう。材料ノートの中から使えそうな話題を探すのです。探す時の方法を1つ書いておきますから参考にしてください。 ●講座の中で私が言ってきたことは 「感想文」=「生活作文」 だということです。 ですから書き出しも、読んだ本や主人公についてではなく、「自分のこと」を書くという手があります。浦島太郎の例でもそういう書き方をしているでしょ。 第1段落 私と弟が何時間もテレビゲームをしていると、父は決まって「光陰矢のごとし。勉強、勉強!」といって私たちを机に向かわせようとする。私が「浦島太郎」を読み終えたとき最初に思い浮かんだのが、この「光陰矢のごとし」という父の口癖だった。 ●要するに、本の内容やテーマと関係ある「自分のこと」を書き出しに使うのです。 例えば
●また、自分のこと以外でも「家族のこと」「友人知人のこと」「聞いた話」「昔のことわざ」などテーマと関係ありそうな材料があれば工夫して使ってみましょう。 ●あまり、凝った(こった)書き出しにする必要はないと思いますが、読み手に「おやっ、ちょっと面白そう・・・・」と思わせる書き出しにした方がいいですよね。 ただし繰り返しになりますが、書き出しを考えるのはノート作りが終わって書く内容が決まってからです。仮にノートの中に材料が見つからなくても、それをじーっと眺めていると、また新しい材料が浮かんで来ることがありますからね。 ◆3 「です、ます」調?「である」調? Q.「です・ます」調と「である」調と どっちがいいのですか? A.どちらでもいいと思います。ただ私の感覚では
というところが妥当なところでしょう。 つまり、幼い内容なら「です、ます」調。大人っぽい内容なら「である」調・・・・そんなところで考えてみてください。 ◆4 あらすじは書くの? 書かないの? Q.あらすじは、あまり入れないほうがいいと、聞いたことがあるのですが、入れてもいいのですか? A.入れてもいいですが、その場合はできるだけ少なめに。 ●有名なものは全く入れなくても良いと思いますが、誰も読んではいないようなマイナーな本なら、少しくらい入れておいた方が読む側は助かると思います。それでも100字〜200字でコンパクトにまとめた方がいいでしょう。 ●ただ、きちっとした感想文であれば、仮にあらすじがなくても「こういう筋のお話だろう」と言うことはわかるものですが・・・ ●特に頭に入れておいてほしいのは、「読者(先生)が知りたがっているのは、本の内容ではなく、あなた自身のことだ」と言うことです。 <本選び編> ◆5 どんな本を選べばいいの? Q.どんな本を選べばいいですか? 普段ほとんど本を読まないのですが。 A.具体的な本の名前を「推薦本」として挙げることはできません。個人個人、興味や読書経験が違うからです。ここでは本の選び方についての私の考えを述べたいと思います。 ●ポイントは3つです。
それぞれについて解説します。 (1)文学・小説にこだわらず、興味のあるものを読む ●本を選ぶときは、自分の最も興味のある分野から選ぶというのが原則です。でないと読むこと自体で苦労しますので、良い感想文も書けません。そういう意味からいうと、名作と呼ばれる文学・小説の中から本を選ぶ必要はどこにもありません。 ●歴史が好きなら歴史小説でもいいでしょうが、理科が好きなら科学者の伝記や科学者が書いた本(主人公がいなくても構いません)。スポーツが好きなら有名選手の評伝・・・もし、そのような「自分の興味」にぴったりの本があれば、少々値段が高くても、少々難しくても、読んで楽しく書いて楽しい経験が出来ると思います。インターネット上の本屋さんで検索して探してみてはどうでしょうか。 ●科学者やスポーツ選手の評伝は「文学・小説」のジャンルではなく「ノンフィクション」のジャンルになりますから、そこからたどっていくと面白そうなものに出会えるかも知れませんよ。 (2)自分のレベルに合ったものを読む ●あなたがいわゆる「文学青年・文学少女」であれば話は別ですが、普通の中高生で漱石や鴎外、ゲーテやドストエフスキーといった作家の作品を読んで「いやー、なかなか面白かった、人生を考えさせられた」という人は少ないと思います。名作と呼ばれるものは大抵、大人が読んでの「名作」であって、中高生の為に書かれたものではないからです。 ●もしあなたが普段あまり本を読まない人ならば、「1年に一度だから名作に挑戦!」とか思わないで、易しいもの、興味のあるものを選びましょう。そして「面白かった」という成功体験を通じて読書の幅を広げていくほうが、年に1冊名作を読んだ「つもり」になって終わるより、はるかにいいと私は思います。 【補足】でもはっきり言って「中高生用」に書かれた分かりやすい本というのは非常に少ないのが現状です。小学生用の「児童書」は色々ありますし、新聞の書評欄にもよく紹介されていますが、中高生用の小説は少なく、一足飛びに「大人用」になってしまいます。中高生が本選びで苦労するのはそんな所にも原因があるのです。そういう意味からすると、毎年学校で指定される「課題図書」は、その年代向けに書かれた数少ない本だと言うことができます。ちょっと考えてみる価値はありそうですね。また友人や先輩の意見も参考にするといいかも知れません。意外と読みやすい本を知っていたりするものですよ。 (3)テレビや映画の助けを借りる ●普段あまり本を読まないという人にとっては、テレビや映画に題材を求めるというのも一つの方法です。今までに見た映画、テレビドラマで面白かったものはいくつかあるでしょう。その原作を読んでみるのです。(原作でなくても、それに関連した本で構いません。) ●そもそも「映画化(またはドラマ化)」されたものは、原作がかなり面白く、大勢の人に受け入れられたからに他なりません。ですから、あなたが見た映画やドラマで、あなたの感性にピンと来るものがあったら、その原作を読むのは失敗の少ない選択だと思います。 ●本を読むときに「難しい、面白くない」と思うのは大抵、頭の中に情景が思い浮かばないときです。映画やテレビの映像はそれを補ってくれます。子供は絵本を読みますが、中高生だって絵(映像)があったほうがわかりやすいに決まってます。周りの大人が「もう中高生なんだから、活字だけで内容を理解しなさい!」といっても気にすることはありません。面白かった映画やドラマをどんどん本で読みましょう。そうするとそれに関連した本も読みたくなり、読書の幅も広がります。 ●かく言う私はこの方法で本をたくさん読むようになったのです。中学生の頃まではあまり本を読みませんでしたが、中学3年の時に見たNHKの大河ドラマが面白くて、それ以降歴史物をたくさん読むようになりました。 また自分の大好きな女優が出演した映画やドラマの原作は大抵読みました。 ●ただ推理小説や「ハリーポッター」のように娯楽性の強いものは感想文には向かないのではないかと、私個人としては思います。(もちろん「ハリーポッター」で感想文を書いたOBは何人もいますが…。) ●解説が長くなりましたので、もう一度まとめておきましょう。本を選ぶときのポイント:
◆6 主人公の年齢は自分と近い方がいいの? Q.第1話に「自分の日常を比較する」とありますが、この場合、より自分に近づけるため、主人公がだいたい自分と同じ歳ぐらいの方がいいんでしょうか? A.非常によい着眼です。そのとおりです。 ●読む本を選べる立場であれば、主人公は出来るだけ自分の年齢に近い方が、比較して書くという作業はやりやすいと思います。そういう理由から、大人向けの難しい小説を無理して読む必要はないと思います。 ◆7 三国志で感想文は書けますか? Q.三国志で感想文は書けますか? 主人公がたくさんいるんですけど… A.書けると思います。的(まと)をしぼりましょう。 ●「三国志」は名前が出てくる人に限っても2000人以上といわれています。ですから、その中であなたが最も興味を持った人物ひとりを取り上げて、自分と比べてみる、というのが良いかも知れません。 ●たとえば、劉備、関羽、張飛、曹操、孔明、など中心人物だけでなく、脇役達にも非常に魅力的な人たちがたくさん出てきますよね。名前は忘れましたが、暴君を倒すために自分と娘(下女?)を犠牲にする老人とか・・・・そういった脇役を中心にしても良いと思います。 ●とにかくあなたがピンと来た人物の生き方や考え方を参考に「自分はどう生きていくか」ということをテーマにすえて考えてみると良いと思います。 ◆8 漱石の「心」と黒柳徹子の「トットちゃん」どっちがいい? Q.夏目漱石の「こころ」と黒柳徹子の「窓際のトットちゃん」のどちらかを書こうと思うのですが、材料ノートがうまく作れません。とくに「こころ」は材料ノートに一文字も書けません。どうすればいいでしょうか? A.今年は「トットちゃん」で勝負しましょう。 ●個人的には「窓際のトットちゃん」の方が書きやすいと思います。夏目漱石の作品群で感想文を書くのは非常に難しいのです。大人の感性で書かれた大人向けの小説ですから、中学生が読んでもよくわからないと思います。本は自分のレベルのものを読まないと意味がありません。(別にあなたのレベルがトットちゃんのレベルだという意味ではありませんが…)とにかく漱石の作品は「ぼっちゃん」にしろ「こころ」にしろ材料ノートが1行も埋まらないというのは、多くの中学生が経験することです。 ●今年は時間がないでしょうから、トットちゃんで勝負をかけることを勧めます。そのかわり、じっくり考えて先生をうならせるような感想文を書けばいいのです。 ◆9 星の王子様では幼稚ですか? Q.読書感想文の本がなかなか決まらずやっと決めたのが「星の王子様」だったのですが中学3年でこの本を読むのは幼稚でしょうか? A.学校の先生の受けは良くないかも知れませんが、別に構わないと思います。 ●重要なことはその本を読んであなたが何を考えたか、中学生らしいことを考えて、ちょっとは進歩できたかと言うことです。その中学生らしい進歩が、感想文の中に出せれば「星の王子様」だろうが「桃太郎」だろうが良いわけです。 ●サンテグジュペリの話は、私自身教科書で出てきたものをちょっと読んだ程度ですが、結構哲学的には深いものがあります。ですから逆に、あなたが「幼稚かな?」と思っている本の中にその哲学性を読み取れるかどうかがポイントになると思います。 ●ちなみに私が読んだお話は、象を飲み込んだウワバミを絵に描いたら、大人達は「それは帽子にしか見えない」と行って理解してもらえなかったというやつです。こんなお話の中にも、実は深く考えさせられる内容が含まれていて、それを文にすると原稿用紙4,5枚は軽く埋まるのです。(だから教科書にも採用されたのでしょう。) ●頑張って挑戦してみてください。 ◆10 歴史人物でも書けますか? Q.歴史人物の話でも、読書感想文はかけますか? 近藤勇が好きなので、新撰組の話を読んでいるんですが、、、 A.いいんじゃないですか。新撰組、私も大好きです。 ●歴史上の人物を題材にした本は、小説であれノンフィクションであれ、現代に生きる私たちにいろいろなことを教えてくれます。ですから主人公の生き方考え方をテーマにすれば、感想文は書きやすいと思いますよ。(私は歴史物が大好きですから、感想文を書けと言われたら、迷わず歴史物で勝負するでしょう。)頑張ってください。あなたの先生も新撰組が好きだといいですね。 <テーマ編> ◆11 テーマはどうやって決めるの? Q.テーマはどのように設定すればいいのでしょうか? A.実はこれが一番難しいのです。鍵(かぎ)は「材料ノート」の中にあります。 ●とにかく「材料ノート」を書いてください。 書かないうちから「テーマは何にしよう????」とか考えても時間の無駄です。 (「浦島太郎の感想文」も、材料ノートを書くまでテーマも何も見えなかったんですよ。) ●さて、材料ノートを作った後、その中からあなたのテーマを決めるわけですが、出来れば作者の言いたいこと(作者のテーマ)と一致した方がいいでしょう。本を読んで「なるほど、作者はこういうことを言いたかったのか!」と分かれば問題はありません。そのテーマに沿って、あなたの材料ノートを完成させればいいのです。 ●しかし作者のテーマがよく分からないことも多いでしょう。その場合は仕方ありませんから、あなたなりのテーマを設定するしかありませんよね。材料ノートを眺めて下さい。そして
という観点から見て、
などを考えてみましょう。 これがテーマ選びの基本です。 ●とにかくテーマ選びは難しいのですが、私のアドバイスは2つです。
◆12 盲導犬のお話なんですが… Q.「盲導犬クイールの一生」という本で感想文を書こうと思ってます。アドバイスを…。 A.私は読んだことがないので、思いついたことをちょとだけ… ●盲導犬の生涯と言うことから、思いつくことを書いておきます。盲導犬とはすなわち、目の不自由な人の目となって働く犬ですよね。要するに自分のために生きるのではなく、他人のために生きる、他人のために働いて一生を終える。そういう犬です。そういう生き方をあなたはどう思うか、ということがひとつ大きなテーマでしょう。 ●あなた自身は今何のために生きているか、何のためにこれから生きていこうとしているか。それを考えて下さい。自分のために勉強する。自分のために働く。家族のために働く。・・・人それぞれ生きる意味は違うと思いますが、あなたはどういう生き方を幸せな生き方だと思うのでしょうか? あなたが犬だったとして盲導犬という生き方を選択すると思いますか?(盲導犬は自分の意志でなったわけではないですが)… そのあたりをじっくり考えれば、書く材料が出てくると思いますが…。 ◆13 アンネの日記で書くとすれば…? Q.アンネの日記で感想文を書くのですが、何かアドバイスを…。 A.「アンネの日記」はテーマの選び方が難しいと思うので、それについてちょっとだけ私の意見を述べておきます。 ●ご存じのようにアンネは第2次大戦の時にナチス・ドイツに捕らえられ、収容所で亡くなったユダヤ人の少女ですが、だからといって「アンネは戦争の犠牲者、かわいそう」といったレベルの感想文では、うまくいかないと思います。少なくとも「アンネの日記」には収容所の話などは出てこないと思います。 ●それよりも、アンネをあなたたちと同じ年代のひとりの少女として見ることが大切だろうと思います。つまり、彼女が日常考えていること、やっていることを日記の中に読みとることが出来ると思いますが、そのアンネの考え方や行動に対して、あなたはどう感じるか、ということがポイントです。 ●「日記」の中には家族とのいさかい、隣人とのトラブル、恋愛のことなど、あなたの身の回りにもあるようなことがたくさん出てきます。そしておそらくあなたよりも深く考え、日記に書いているのではないかと思います。それに対してあなたはどう考えるのか、あなたの生活はどうなのかを考えましょう。そしてその考えたことを原稿用紙に書いてはどうですか? ●要するに「戦争の犠牲になったかわいそうな少女」ではなくて、「逆境の中でも、たくましく生きている少女」ととらえた感想文の方が、書きやすいだろうということです。 ◆14 ヒトラー暗殺の本なんですが・・・・ Q.「軍の反乱」というヒトラー暗殺の本なんですが、感想文書けるでしょうか? A.この手のものは興味のある人には面白いですが、感想文を書くとなると工夫が必要です。 ●テーマとしては、生と死、何のために生きるのか、何のために死ぬのかというところだろうと思います。 ●当時ヒトラー暗殺(クーデター)を計画するということは、「失敗すれば死」 を意味します。それを自ら選んだ人たちの心の中にあった人生観、生きる意味、死ぬ意味とあなたが今持っている人生観、死生観には少なからず「ずれ」があると思います。彼らの生き方からあなたが学ぶもの、感じるものがあるとすればそれは何か…。あなたが60年前のシュタウフェンベルグ大佐であったらやはり、死を覚悟で計画に参加したか・・・ ●現在の平和な日本ではあまりなじみのない行動ですが、何かのために文字通り「命をかける(死を賭して何かをする)」ということができるか。平和な世界で普通の生活をしている人にはおいそれと「命を賭けて」何かをするということは出来ません。では出来ないことは悪いことなのか、それとも非難されるべきことではないのか? いざとなれば自分も出来ると思うか・・・・などなど、考えることはたくさんありそうです。 <作業編> ◆15 やる気が起きないんですが・・・ Q.感想文の宿題をやる気が起きないのですが… A.大丈夫! やる気がなくても感想文は書けます。 ●感想文を書くのは一種の「作業」だと思って下さい。掃除と一緒です。(掃除よりちょっと知的な作業ですが。)とにかく「作業」ですから、やる気云々よりもまず始めること、第一歩を踏み出すことが重要です。
というように、とにかくやってみることです。愚痴や文句はそのあと言いましょう。やり始めると「なーんだ、こんなにスムースに行くのか」となる場合も多いのです。(実際そのような体験をしたOBからの便りをたくさんもらっています。) ●あなたが取るべき道は2つしかありません。
どちらを選びますか?選ぶのはあなたです。 ◆16 本は読みましたが、感想文にしようと思ったら難しいんです。 Q.夢中になって2時間くらいでもう読んでしまったのはいいんですけど、感想文にしようと思ったら難しいんです。 A.思っているだけだから難しいのです。まず第一歩を踏み出しましょう。 ●夢中になって読んだとありますが、それなら面白かったわけでしょう。感想文としては書きやすい題材だと言えます。でも頭の中で考えているだけでは先に進みませんから、とにかく鉛筆を持ちましょう。
そのようなところから「材料ノート」を作り始めてはどうでしょうか? ◆17 3〜4枚しか書けないのですが… Q.いくら考えても3〜4枚で終わってしまいます。テーマを長くしても不自然だし・・・。なにか良い方法ありませんか!? A.1つのテーマでも、深く考えれば考えるほど書く内容は増えていきます。「テーマを長くして不自然」ということはないと思いますよ。 ●枚数が埋まらないとき考えられる方法は
などいくつかあると思いますが、ここでは(3)について説明します。 ●材料ノートのBCの部分をもう少し膨らませるというのは、今まであなたが書いたことについて、もう一段深く考えるということです。具体的には「なぜそうなのか?」「もっと違う考え方はないか?」「他の人も私と同じなのか?」といった疑問を自分で作って、自問自答してみるのです。するとまた違った内容が思い浮かんでくることがあります。 たとえば、 Bに 「自分は利己的な性格だと思う」 Cに 「友達に助けを求められたとき、時間がないという言い訳をして助けなかった。」というように書いていたとします。そこでもう一段つっこんで考えてみます。 B「自分は利己的な性格だと思う」
そのようにもう一段考えを深めると、書く内容も深くなって良い文になると思います。ちょっと時間がかかるかも知れませんが、やってみて損はありません。 ◆18 書きたいことが多すぎて、まとまりません。 Q.書きたいことが多すぎて、なかなかまとまりません。それに文をどうつなげていったらいいのかわからなくて困っています。一体どうすればいいですか。 A.おそらく、あなたのテーマがはっきり決まってないからだと思います。 ●「テーマは1つ」が原則です。どんなに面白いことでも3つも4つも言いたいことを盛り込んだのでは、ポイントがぼやけますし、お互いのつながりをつけにくくなります。 ●まず第2話でお話ししたような「材料ノート」が出来ていると思います。その中で、一つだけテーマを考えます。(テーマの絞り方は◆11を参照して下さい。)テーマが決まったら、そのテーマとは関係のないものはばっさり切り捨てて下さい。これも書きたい、あれも書こうと言っているとまとまらなくなります。くどいようですがテーマは1つが原則です。それを具体化する場面は2つもあれば充分ですし、あなたの生活・体験の実例も1つか2つで充分です。それを深く深く考えていくと原稿用紙5枚ぐらいはすぐに超えてしまいます。(テーマの深め方は◆17を参照) ●余計なことは書くな!1つのテーマをもっと掘り下げろ! これが私のアドバイスです。 【補足】とは言っても、内容のちがう2つ3つの場面から1つのテーマを導き出すのは、実際非常に難しいのも事実です。そこをどのように処理するかは、その人の構想力と文章力にかかっていると言えるでしょう。場面選びとテーマの設定は「感想文の永遠のテーマ」でしょうね。 <母親編> ◆19 小学4年生の子供に、どうアドバイスしようかと… Q.小学4年生の子供に助けを求められていますが、どうアドバイスしようかと… A.小学校4年生ということですので、少し補足して私の考えるところを述べたいと思います。 ●「こうすれば書ける読書感想文」は、中学2,3年〜高校1年向けに書いたものですから、小学生へのアドバイスとは少々異なります。小学生中学年へのものであれば次のようになると思います。 第1話 主人公と自分の生活を比べる・・・という考え方は基本的に同じです。ただし、「あらすじ」が少し入っても構わないと思います。 第2話 書き方の手順・・・については、場合によっては小学生には無理なことがありますので、お母さんなりお父さんなりのお手伝いが必要でしょう。
そのあたりをそれとなく対話形式で聞き出して、本人の頭の中を整理してやればよいと思います。そして上記の1.〜3.で出てきた内容を (ア) 簡単なメモを書いた上で (イ) 自分の言葉で書けばよい とアドバイスなさればよいかと思います。特に「メモを取る」作業は大切で、これがきちっと出来るようになれば、一人で文章を書く基礎が出来ると思います。 ●なお、読解力や作文力は個人差が大きいのも事実です。小学4年生で「かきかたがわかりました」とお便りをくれる子もいれば、中学生でも「もう少し分かりやすく説明して下さい。」という生徒さんもいます。お子さんの実力にあわせて、どこまで手助けをすべきか、または手助けを控えるべきか、慎重にお考え下さい。 ◆20 小学校1年生の読書感想文は…(その1) Q.小学校1年生の子供に読書感想文を書かせるにはどうしたらいいのでしょうか? A.親子の共同作業だと思ってください。 ●小学一年生の一般的な学力を考えたとき、一人で「感想文」を完成させる能力のある生徒さんはごく一握りでしょう。ですからほとんどの場合、お母さん(またはお父さん)のアドバイスが必要になります。特に初めて「感想文」を書く生徒さんの場合、大人が実際にやって見せなければ、作業の進めようがありません。 ●まずお母さんも本を読んだ上で、お子さんに次のようなことを尋ねてみてください。
お子さんの答えは、メモ書き程度でもいいですから紙に書いた方がよいと思います。そして「学校の先生に読んだ本のことをお話しするとしたら、どんな風にお話しするか?」をさっきのメモを見せながら作文用紙に書かせてみる、というように進めてみてはどうでしょうか。ここまでできれば1年生だったら充分だと思います。 【補足】中学や高校になると「あらすじは書いたらダメ!」とよく言われますが、小学1,2年の場合は事情が少し違います。読んだ本について
ということも大きなポイントになると思いますので、あらすじ6割、感想4割(またはあらすじ7割、感想3割)くらいでも、学校の先生に「あらすじの書きすぎ」といわれることはないと思います。 ●いずれにしろ、お母さん(またはお父さん)がある程度誘導してやる必要があるでしょう。 ◆21 小学校1年生の読書感想文は…(その2) Q.小学校1年生の娘が、夏休み 読書感想文を書くことに。「むしたちのうんどかい」というタイトルの本なのですが、なかなか、うまく感想文もまとまりません。あらすじは、いろんな種類の虫たちが、一緒に運動会をする話なのです。はしりっこ、とびっこ、たまいれ、おひるのじかん、おどり、つなひき、ほたるの花火があがってお終いなんです。こどもに印象を聞いてみたら、2,3あげるのですが、そこからなかなか、自分ならとか1年生では、続いていかないんです。 A.仕方ないと思います。お話の内容がそれほど深くなさそうなので、1年生にそれ以上求めるのは酷ではないかと思います。 ●とりあえず次のようなことを目標にしてみてはどうでしょう。
そして、(2)「自分が思ったこと」については、次のようなことをお母さんが質問してみて、お子さんに「書く材料」を提供してやるとよいかも知れません。
●私は小学校低学年を教えた経験がありませんので、以上のことは「私だったらこうしてみるだろう」という内容にしか過ぎませんが、何かの参考になればと思います。 <他ジャンル編> ◆22 主人公のいないエッセイの感想文は? Q.主人公のいないエッセイについての感想文はどう考えればいいのでしょうか? A.基本的な考え方は同じです。 ●ただエッセイだと、主人公はいませんよね。筆者の思ったことや考えたことが主に書いてあるわけですから、その感想文を書くとすれば、筆者が考えたことに対して、自分はどう考えるかということがメインのテーマになると思います。 ●その「自分はどう考えるか」を書く過程で「自分の日常の生活や体験」がどうしても絡んでくるのです。なぜなら、結局あなたの「考え」というのは、これまでの自分の日頃の生活や体験が根拠になって出来上がったものだからです。違いますか? ●たとえば「冬は寒い」とあなたが考えたとしたとき、それはあなたが生まれ育った場所で体験した「冬」が基準になっているはずです。だから当然ロシア人の「冬は寒い」とは違った寒さです。 ●またもう1つ「戦争」というテーマに例を取りましょう。「戦争」に対する考え方の「根拠」は、体験のある人と、ない人とでは決定的に違います。そして同じ戦争体験者でもその後「平和主義者」になるか「復讐の鬼」となるかはその「戦争体験」によります。また体験のない人たちに限ってみても考え方は様々です。それは、親の考え方、受けてきた教育、読んだ本、読んでいる新聞、恋人のあるなし、子供のあるなし、その他諸々の生活環境ががその人の考え方に影響を与えているからです。 ●このように考えると、あなたが課題として出された本の筆者が書いている考えと、あなたの考えが仮に同じであったとしても、その根拠になっているものは全く違っているはずです。ですから、あなたが筆者の考えに賛成か反対か、どう思うか・・・・を考えるとき、時代背景の違い、生活環境の違い…など、あなたの考えの根拠になっている実生活、実体験をじっくり探っていくと、けっこう面白い文になると思いますが。 ◆23 税金作文については Q.学校で「税金作文」を書くようにいわれたのですが、何をどう書けばいいのか分かりません。 A.まず「税金」とは何か?それを考えることから始めて下さい。 ●私も塾の生徒に税の作文についてよく質問されるのですが、いつもワンパターンのアドバイスしかできないのが現状です。で、そのワンパターンとは・・・ ●まず、税金について次のことを考えてみて下さい。 (1)税金は何の為にあるのか? (2)誰も税金を払わなくなったらどうなるか? (3)税金の問題点があるとすれば、それは何か? (4)その他 (1)(2)についてちょっとだけヒントを。 ●たとえば、あなたの家では毎日食事をすると思いますが、生ゴミの処理はどうしてますか?大抵袋に入れてゴミ置き場に持って行きますよね?なぜでしょう。そこにおいておけば清掃車がやってきて回収してくれるからですよね。その清掃車は誰が雇っているの?普通は市町村の税金でまかなわれているんですよね。つまり、あなたのご両親や地域の住民が「税金やーめた、納めない!」となったら、明日からあなたは生ゴミをどこかに捨てに行かなければなりません。隣のおばあさんも捨てに行かなければなりません。でも捨てるところある?公園?あそこの公園は、すぐ横のマンションの人たちが捨てたゴミでいっぱい。もうウジがわいてるよ。・・・・じゃあ、誰かにお金払って持って行ってもらおうか?・・・・なに?1日で5000円?1ヶ月で15万?・・・税金より高いじゃないの!てなことになりますよね。 ●同じように大切なことが、税金を通して行われています。
●このように考えると、税金は、比較的安い値段で、生活上必要な様々のサービスを提供してくれているといえます。じっさい、行政機構が整ってない未開の土地では、自分たちで全てをやらなければならないのです。たいへんですよね。あなたの家族だけでできますか? ●そのようなことを考えていけば、税金を払うということがどういう意味を持つのか、払わないとどういうことになるのか…書く材料はたくさん見つかると思います。 ●あっ、そうそう。言い忘れましたが、税金を払わないと「良いこと」が一つだけ起こります。それは、公立の学校では先生を雇えなくなるので「税金の作文」を書かなくてもすむことです。(ためしてみますか?) 【補足】税金作文の書き方については具体的には述べませんが、「感想文の書き方」を参考にして税金作文を書いたら賞を取った、という生徒さんがいましたので、その生徒さんとのやりとりをご紹介しておきます。 生徒さん: 「こうすれば書ける読書感想文」を参考に夏休みの宿題で出た「税の作文」を書いたところ、入賞しました。ありがとうございました。 塾長から: 税金の作文にまで応用するとはすごいですね。ちなみにどのようにして書いたのか簡単に教えてください。 生徒さん: 私が参考にさせてもらった事は…
書くとほとんどマネさせてもらいました。全然、応用じゃないですよ(笑) ●とのことでした。 みなさんも頑張って挑戦してみて下さい。 ◆24 弁論作文については? Q. 学校で弁論用の作文が宿題として出されたのですが、何をどう書けばいいのかわかりません。何かコツがあったら教えてください。 A. まずテーマが決まらないことには、文章の書きようがありません。 ●学校でテーマを設定してないのであれば、自分で決めるしかないわけですが、「弁論」のテーマでやりやすいのは、自分の生活(学校、家庭、社会)の中で、こうした方がいいんじゃないかとか、自分たちがちょっとやり方を変えたり心がけをよくすればもっと生活しやすくなるんじゃないかというようなことを一つ見つけて、それについて書くことではないかと思います。 たとえば、 <学校生活>
<家庭生活>
<社会生活>
と考えれば色々あると思います。その中で、自分が日頃少しでも気になっていることを1つだけ決めて それについて書く努力をするわけです。 ●書くときの展開は
というような感じで進めると良いと思います。(あくまで、1例ですが) ●出来れば、時間をかけてしっかりしたものを書くべきですが、とにかくテーマを決められるのはあなたです。自分の身の回りからじっくり眺めてみてください。そして、じっくりそのテーマについて考えてください。そうすれば「弁論作文」への足がかりが出来ると思います。 <番外編> ◆25 「浦島太郎の感想文」を写してもいいですか? Q. 時間がないので「浦島太郎の感想文」を写してもいいですか? A. これはだめです。著作権の問題の他に、次のような理由からです。 ●「浦島太郎の感想文」は内容的には中学2,3年が書きそうなものにしていますが、テーマの設定や文章そのものは、どうしても「大人が書いたもの」になっています。ですから これを写して宿題として提出しても、「誰か大人に書いてもらったな!」ということは学校の先生にはバレバレです。(国語の先生の読み取り能力を甘く見てはいけません。) 学校の先生は、「下手でも努力した人」には好感を持ちますが、「努力した振りをする人」には嫌悪感を持ちます。第一、「浦島太郎を読んで」では「読書した」とは認めてもらえないでしょう。 ●「感想文の書き方」をご紹介したのは、書き方で悩んでいる人のお手伝いをするためであって、宿題の代行をするためではありません。私が書いたものを写して提出しても、あなたの作文力は少しも向上しません。ここはやはり、あなた自身で頑張って書きましょう。 ●ひとことだけアドバイスを…「どうしても書けない、5枚埋めるのは無理」というような場合は、2枚でも3枚でもいいですから、短くてもきちっとした感想文を仕上げましょう。 だらだらした文章5枚より、ぴりっとした文章2枚の方が読み手はうれしいものです。 大学入試の論文試験なら2枚では不合格ですが、夏休みの宿題なら、提出しないよりはるかにすばらしいと思います。 |
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