5 どんな本を選べばいいの?

Q.どんな本を選べばいいですか? 普段ほとんど本を読まないのですが。

A.具体的な本の名前を「推薦本」として挙げることはできません。個人個人、興味や読書経験が違うからです。ここでは本の選び方についての私の考えを述べたいと思います。


●ポイントは3つです。

(1)文学・小説にこだわらず、興味のあるものを読む
(2)自分のレベルに合ったものを読む
(3)テレビや映画の助けを借りてみる

それぞれについて解説します。


(1)文学・小説にこだわらず、興味のあるものを読む

●本を選ぶときは、自分の最も興味のある分野から選ぶというのが原則です。でないと読むこと自体で苦労しますので、良い感想文も書けません。そういう意味からいうと、名作と呼ばれる文学・小説の中から本を選ぶ必要はどこにもありません。

●歴史が好きなら歴史小説でもいいでしょうが、理科が好きなら科学者の伝記や科学者が書いた本(主人公がいなくても構いません)。スポーツが好きなら有名選手の評伝・・・もし、そのような「自分の興味」にぴったりの本があれば、少々値段が高くても、少々難しくても、読んで楽しく書いて楽しい経験が出来ると思います。インターネット上の本屋さんで検索して探してみてはどうでしょうか。

●科学者やスポーツ選手の評伝は「文学・小説」のジャンルではなく「ノンフィクション」のジャンルになりますから、そこからたどっていくと面白そうなものに出会えるかも知れませんよ。


(2)自分のレベルに合ったものを読む

●あなたがいわゆる「文学青年・文学少女」であれば話は別ですが、普通の中高生で漱石や鴎外、ゲーテやドストエフスキーといった作家の作品を読んで「いやー、なかなか面白かった、人生を考えさせられた」という人は少ないと思います。名作と呼ばれるものは大抵、大人が読んでの「名作」であって、中高生の為に書かれたものではないからです。

●もしあなたが普段あまり本を読まない人ならば、「1年に一度だから名作に挑戦!」とか思わないで、易しいもの、興味のあるものを選びましょう。そして「面白かった」という成功体験を通じて読書の幅を広げていくほうが、年に1冊名作を読んだ「つもり」になって終わるより、はるかにいいと私は思います。

【補足】でもはっきり言って「中高生用」に書かれた分かりやすい本というのは非常に少ないのが現状です。小学生用の「児童書」は色々ありますし、新聞の書評欄にもよく紹介されていますが、中高生用の小説は少なく、一足飛びに「大人用」になってしまいます。中高生が本選びで苦労するのはそんな所にも原因があるのです。そういう意味からすると、毎年学校で指定される「課題図書」は、その年代向けに書かれた数少ない本だと言うことができます。ちょっと考えてみる価値はありそうですね。また友人や先輩の意見も参考にするといいかも知れません。意外と読みやすい本を知っていたりするものですよ。


(3)テレビや映画の助けを借りる

●普段あまり本を読まないという人にとっては、テレビや映画に題材を求めるというのも一つの方法です。今までに見た映画、テレビドラマで面白かったものはいくつかあるでしょう。その原作を読んでみるのです。(原作でなくても、それに関連した本で構いません。)

●そもそも「映画化(またはドラマ化)」されたものは、原作がかなり面白く、大勢の人に受け入れられたからに他なりません。ですから、あなたが見た映画やドラマで、あなたの感性にピンと来るものがあったら、その原作を読むのは失敗の少ない選択だと思います。

●本を読むときに「難しい、面白くない」と思うのは大抵、頭の中に情景が思い浮かばないときです。映画やテレビの映像はそれを補ってくれます。子供は絵本を読みますが、中高生だって絵(映像)があったほうがわかりやすいに決まってます。周りの大人が「もう中高生なんだから、活字だけで内容を理解しなさい!」といっても気にすることはありません。面白かった映画やドラマをどんどん本で読みましょう。そうするとそれに関連した本も読みたくなり、読書の幅も広がります。

●かく言う私はこの方法で本をたくさん読むようになったのです。中学生の頃まではあまり本を読みませんでしたが、中学3年の時に見たNHKの大河ドラマが面白くて、それ以降歴史物をたくさん読むようになりました。 また自分の大好きな女優が出演した映画やドラマの原作は大抵読みました。 

●ただ推理小説や「ハリーポッター」のように娯楽性の強いものは感想文には向かないのではないかと、私個人としては思います。(もちろん「ハリーポッター」で感想文を書いたOBは何人もいますが…。)

●解説が長くなりましたので、もう一度まとめておきましょう。本を選ぶときのポイント:
  1. 文学・小説にこだわらず、興味のあるものを読む
  2. 自分のレベルに合ったものを読む
  3. テレビや映画の助けを借りてみる
でしたね。 頑張って探してみてください。


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