(後半)
4時間目の作業

 このページは後半です。 
 まだ前半を読んでない方はこちらから


●休憩が終わったところで次のステップに行きますが、その前にちょっとだけ私のお願いを聞いて下さい。 

●このサイトは 2001年の開設以来  人の方に読んでもらいましたが、2018年にサイトをリニューアルしてからは まだわずかに 人のお友達にしか読んでもらっていません。 もっと多くの悩める中学生に読んでもらいたいと思っています。

●そこでお願いですが、もしあなたが このサイトに来て 少しでも 「役立った」 とか 「面白かった」 と思って頂けたら、その思いを独り占めしないで、ぜひ お友達にこのサイトの存在を教えてあげて下さい。 口伝えでもいいですし、ブログやサイトを運営されている方は 何かの記事の中でご紹介頂ければ大変ありがたいです。 そうすればより多くのお友達に読んで頂けるのではないかと 思います。  サイト名とアドレスは以下の通りです。

  こうすれば書ける読書感想文  
   http://kansobun.boy.jp

勝手なお願いですが、よろしくお願いします。 


 では4時間目の作業に入ります。 (まだ1話、2話、3話の前半を読んでいない方は こちらからどうぞ)





4時間目  組み立てを考えよう 
       (設計図を描く)

●第4時間目は設計図を描きます。 「設計図なんて必要なの?…めんどうくさい!」と思う人もいるかも知れませんが、絶対に必要なものです。 家を建てるとき、必ず設計図を描き、それに従って家を建てていくのと同じように、文章を書くにも設計図が必要です。 といっても感想文の設計図を描くのには10分もあれば充分です。 しかも、これがあるだけで下書きが楽に書けるので、結局早く出来上がりますし、「途中で書くことがなくなってしまった」なんてことも防げます。 必ず描きましょう。  
 … 急がばつくれ設計図 … です。


●まず第3時間目に考えた「テーマと結論」そして「材料」を確認しましょう。
テーマ :
楽しいことはいつか飽きるし…時間がたつのも早い
結 論 :
毎日の時間を大切にしなければならない
材 料 :
主に場面3,場面4、予備で場面1

でしたね。そこで原稿用紙5枚(2000字)の感想文を書くとして設計図を描いてみました。ポイントは、
  1. 段落分けをきちっとやる。
  2. 段落ごとに、書く内容を個条書きする。
  3. 字数を決める。 (下の序論のように、 細かく決めた方が書きやすいです。)


<浦島太郎の設計図>
 青字の部分は、「材料ノート」に書いてあるので書かなくてよい部分です。

展開 書 く 内 容 予定字数
序論 ・テレビゲームのこと
・父親の言葉「光陰矢のごとし」
 (場面4のCの書き込みから)
100字 400字
・「浦島太郎」のあらすじ 
 (よく知られている本であれば、あらすじは不要です。) 
200字
・結論の予告      100字
本論 場面1 @浦島太郎は、子供たちにお金を与えて 亀を逃がした。
A浦島太郎は優しい。自分ならそんな物好きなことはしない
B自分はケチ  (カット)
Cおばあさんに席を譲らなかった。(カット)
200字
場面3 @竜宮城に3年いたら、ぜいたくな生活に飽きた。
Aぜいたくな生活も、いつかは飽きる
B自分も、他の人も、皆そうだろう。
C母の入院と外食
  家族旅行のこと
500字
場面4 @3年だと思っていたら、実は300年だった。
A年月が過ぎ去るのは早い
B熱中していると時間のたつのを忘れる
Cテレビゲームのこと 
  父親の口癖:光陰矢のごとし…
500字
結論 ・毎日の時間を大切にしなければならない
・自分の生活の反省→いつもだらだらと日を過ごさない。
200字
序 論   計 400字
 ・テレビゲーム
・父の言葉
100字 
 あらすじ  200字
 結論の予告  100字
 本 論   計 1200字
 場面1の材料ノート  200字
 場面3の材料ノート   500字
 場面4の材料ノート  500字
 結 論 
 ・時間を大切に
・だらだら過ごさない
 200字

●これで設計図が出来上がりました。 次の時間はいよいよ「本文」を書いていきます。




5時間目  さっそく描いてみよう
        (下書きをする)

●さていよいよ「下書き」です。 ここでまた皆さんの中には「下書きなんて必要なの?面倒くさーい!」とだだをこねる人もいると思いますが、それは考え違いです。 皆さんは、「原稿用紙に清書すること」を「感想文を書く作業」だと思っているかも知れませんが、それは違います。 感想文を書く作業というのは「下書き」が出来た時点で終わりなのです。 その後の「清書」は単なる付録です。 なぜなら、きちっとした下書きが出来ていれば、「清書」はあなたの妹に書いてもらうことも出来るでしょ? でも逆に「下書き」を妹に書いてもらうことは出来きませんよね?つまり「下書き」こそが、あなたにしかできない「あなたの感想文」作りなのです。

●さあ、それでは下書きです。 「設計図」「材料ノート」を見ながら下書きをしますが、書いているうちに、付け足したいことや削りたいことが出てきます。 そのときは字数を見ながら、書きたいように変更していきましょう。


●さてこのような過程で下書きをした後、いろいろ手直しをしたものが下の文です。 あまり良い文章ではありませんが、夏休みの宿題として出すには十分かな、と思います。 あとは、第6時間目に最終チェックをして原稿用紙に清書していくだけです。
  <1枚目>
  私と弟が何時間もテレビゲームをしていると、父は決まって「光陰矢のごとし。勉強、勉強!」といって私たちを机に向かわせようとする。私が「浦島太郎」を読み終えたとき最初に思い浮かんだのが、この「光陰矢のごとし」という父の口癖だった。(父の言葉120字)
  主人公・浦島太郎は、ある日、子供たちにいじめられていた亀を助けたのが縁で、亀に連れられて竜宮城に行く。そこには美しい乙姫様がいて、毎日ぜい沢なもてなしをしてくれる。しかしそのうちに、ぜい沢な毎日にも飽きてきて、故郷が恋しくなった浦島太郎は「玉手箱」をおみやげにもらって竜宮城を去り、故郷に戻る。しかし、そこは300年後の世界で、誰も知った人がいない。絶望した太郎が「玉手箱」をあけると、白い煙が出てきて、太郎は白髪の老人になってしまう…。 (あらすじ220字) およそこのようなお話だけれども、おとぎ話なので非現実的な部分もある。しかしその中には、日頃の私たちの生活を見つめ直す良
  <2枚目>
  い材料が含まれているように思う。(結論の予告80字)
  まず物語の初めの方で浦島太郎は、亀を助けてあげるが、これは太郎がとても優しい人だということをよく表していると思う。彼は亀を救うだけでなく、子供たちにもちゃんとお金を与えて不満が出ないようにしている。 ケチの私にはちょっと真似出来ないことだ。(場面1 140字)
  そんなごく優しい若者が、竜宮城という不思議な世界に引き込まれ、運命を狂わせてしまう。せっかく手に入れたぜい沢で楽しい生活だったが、やがてそんな生活にも飽きてきて故郷に帰りたいと思うようになる。最初読んだ時、なぜ貧しい元の家に戻りたいのか、太郎の気持ちが理解できなかった。しかしよく考えてみると、このことは私たちの日常生活でもよく感じることだと思えてきた。
  去年、私の母が2週間ほど入院したことがあるが、このとき、夕ご飯はすべて外食になった。私の家は滅多に外食をしないので、私
  <3枚目>
  と弟は最初非常に喜んだ。「毎日好きなものが食べられるぞ。」といっては毎回、焼肉定食だとか豚カツ定食だとか好みのものを競うように食べていた。しかし、毎日毎日そのようなものばかり食べていると、だんだんおいしさは感じなくなるもので、最後には臭いをかぐのもいやになってきた。この時初めて母の作る夕食のありがたさを実感した。日頃は「きょうのコロッケおいしくない!」だとか「焼き魚は嫌いだから食べたくない!」だとか勝手なことを言っているが、嫌いなものやおいしくないものがあって初めて、おいしいものをおいしいと感じることができるのだと思うようになった。家族旅行でも、楽しいのは初めの1,2日で、そのうち自分の家にいる方がいいと思うようになることが多い。こ れも同じことだろうと思う。平凡な毎日の生活があって初めて、旅行などの特別なイベントが待ちどおしかったり、楽しかったりするのではないだろうか。浦島太郎が毎日のぜい
  <4枚目>
  沢な生活に飽きてしまったのも、私たちが日常普通に感じていることだったと思う。 (場面3 680字)
  しかしその後の浦島太郎を待っていた運命は、普通の人間では体験できないような悲劇だった。わずか3年だと思っていた竜宮城での生活が、実は300年だったのだからさあ大変だ。あっという間におじいさん…。現実には考えられないようなこの悲劇を、その後の太郎がどのように受け入れたのか、とても気になるところだが、よく考えてみるとこの悲劇も、私たちの日常でよく繰り返されてい ることを物語っているような気がする。
  私たちは普通、楽しいことに熱中しているとつい時間のたつのを忘れてしまいがちだ。そして、ふと気がつくととんでもない時間が過ぎ去ってしまっているのにびっくりする。それが何か意味のあることに熱中していたのなら充実感もわくけれども、無意味なことに熱中していたようなときは、むなしさだけが残るような気がする。私はよくテレビゲーム
  <5枚目>
  をやるけれど、気がつくと夜中の2時、なんてこともよくある。うまくクリアーできたり得点がアップするとその日は「ああ楽しかったなあ」と単純にに思う。しかし、そんな日が毎日続くと、何となくむなしくなったり、将来の自分に何か役に立っているのかな、と不安になったりする。そして、そんな時に限って父がやって来ては「光陰矢のごとし…」と言うのだ。だから反発を覚えながらも納得 させられてしまう。(といって勉強をするわけではないのだけど…。) (場面4 580字)
  浦島太郎は、私に2つのことを教えてくれた。楽しいこともいつかは飽きること、そして、知らないうちに時間は過ぎ去っているということだ。一日一日を大切に生きるようにと太郎は忠告しているように思う。毎日ゲームばかりやって、気がついたら中学生活が終わっていたというような、中学生版「浦島太郎」にだけはならないようにしなければならない、とこの物語を読んで思い始めた。 (結論180字)
  2000字

注1) もし「あらすじ」を書かなくても良い場合は、1枚目の青色の部分をカットして、少し修正すればできあがりです。

注2) 場面3の字数が設計図(500字)よりかなりオーバー(680字)していますので、場面1(赤色の部分)は実際には書かなくてもいいかもしれません。 その方がテーマがしぼられて良いかも…です。


●さあ、やっと下書きが出来上がりました。 疲れましたね。 今日はもうゆっくり休んで、明日の清書に備えましょう。




6時間目  清書をしよう

●さあ、いよいよ仕上げです。 料理を食卓に出す前に最後の味見をするように、清書の前に最終チェックをします。 つまり今までの「書き手の立場」を離れて「読み手の立場」で「下書き」を通読して下さい。 読んでいて「変だな」と感じる箇所があればそれを修正しましょう。 特に問題がなければそのまま清書して良いでしょう。  ちなみに上の「浦島太郎」の下書きにも、誰が見ても間違いとわかる箇所が1ヶ所ありましたよね、気づきましたか? (5枚目の3〜4行目、「単純に思う」の箇所です) 清書する前に、出来るだけそのような間違いは訂正しておきましょう。


●第5時間目にも書きましたが、「清書」そのものは付録のようなものです。妹にでも書かせておけば充分です。 しかし、妹もそんなにすんなりとは書いてくれないでしょう。 やはりここはもうひとがんばり、あなた自身で書き上げましょう。 それでも今までのように頭を使う作業はありませんから楽ですよね。 ひたすら字を写すだけです。 でも「字はその人を表す」といいますから、ていねいに書きましょう。



最後に…


●いやー、良くここまで読んで来てくれましたね。 敬意を表します。 ところで少しは役に立ちそうですか? 長々と書いてきましたが、要するに、読書感想文とは、その本を通して自分を振り返り、将来の自分を考える、という作業ではないでしょうか? もし、あなたの国語の担当の先生が、「○○君、これじゃ感想文になってないじゃないか! ただの生活作文だよ!」とあくまで「本の感想」にこだわるようであれば、次のことを質問してみてください。

  1. どうすれば感想だけで原稿用紙を4枚も5枚も埋めることができるのか?
  2. 模範的な「読書感想文」(とやら)をぜひ見せてもらえないか?

そして、もし模範的な「読書感想文」を手にすることが出来たら、ぜひ、このサイトにメールで送って下さい。私も参考にしたいと思います。

●またこのサイトに関するあなた自身のご意見、ご感想もよかったらお聞かせ下さい。(メールはこちらから


●では、皆さんの「読書感想文」がより良いものになりますように…。心から健闘を祈ります。

お知らせ

第3話まで読んで下さって有難うございました。

塾長の「お助け講座」第1弾は
いかがだったでしょうか?
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この他にもたくさんの講座を用意していますが

特に人気のある講座・教材を
3つだけご紹介しておきます。

歴史が苦手な中学生のための
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またそれらをまとめた
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感想文を書く前にちょっとだけ寄り道…
してもいい人は、ぜひ来てみてください。


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ピンとくるものがあったら、のぞいてみてください。



・・・・・・・・・・・・・・ レビュー用 目次 ・・・・・・・・・・・・・・・ 

  第1話  読書感想文に「感想」を書いたらダメ…の巻
  第2話  感想文を原稿用紙に書いたらダメ…の巻   
  第3話  実践編  「浦島太郎」でも感想文が書ける!…の巻   
      第1時間目     材料を集めよう
      第2時間目    肉付けをしよう
      第3時間目    何が書けるか考えよう(テーマと結論)
      第4時間目    組み立てを考えよう(設計図)
      第5時間目    さっそく書いてみよう(下書き)
      第6時間目    清書をしよう

塾長の 他の教材・講座
歴史・地理の教材

第1話  読書感想文に感想を書いたらダメ
第2話  原稿用紙に書いたらダメ

第3話  実践編:「浦島太郎」でも感想文が書ける
Q&A   書けないときの ヒント集25

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