おやじの子育て奮闘記(1歳)


2001年7月某日 :  歯が…、歯が… 一大事!


●誕生日を過ぎたころ、おやじには一つ気になる事が出てきた。息子の歯がどうも変なのである。息子の歯は今、上の前歯4本、下の前歯2本がはえている状態。ところがである。よーく見てると、笑うとき、強く噛むとき、… いろいろな場面で下の歯2本が、上の歯4本の前に出てくるのである。大人でいう「受け口」だ。ウーム、このままほおっておくと乳歯がはえそろう頃には完全に受け口になってしまうのではないか…?! おやじの小さな疑念はどんどん大きくなり根拠のない確信になってしまった。たまりかねて嫁さんにいうと、「そーお?、全然気づかなかったけど」と興味なさそう。

その時の夫婦の会話:
「何かおかしくなったら 永久歯になってから矯正すればいいわよ!」
「今のうちに何とかなるもんなら、その方がいいだろ?」
「でも、まだ生えそろってみなきゃわからないわよ」
「はえそろってから、ああやっぱり…とかなったらいやだろ?」
「そのときは矯正すればいいわよ」
「矯正せずにすむんならそのほうがいいだろ?」
「だいたい受け口って何?私今まで見たことないんだけど…!」
「・・・(ウームこりゃだめだ)・・・まあ別に受け口でも生活できるからいいけど、物を噛んだりするとき大変じゃないかなあ?」
「・・・知らない。私見たことないし・・・」

てなわけで、らちがあかない。結局嫁さんが歯医者に連れて行ってくれることになった。その間おやじはインターネットで「受け口」の検索をやったり、寝ている息子の口をこじ開けて歯の状態を見たり、・・・

●そして当日、仕事から帰ったおやじは真っ先に嫁さんに聞いた。「歯医者さんは何て言ってた?」 すると眠そうな声で「別に普通だってよお。赤ちゃんはみんな、そうなんだって。・・・もう、パパはちゃんと育児書を読まないからよ!」



2001年9月某日 : 泣くな、息子よ・・・

●1週間前からおやじは憂鬱だった。来週の月曜日、来週の・・・・・・きっと泣くだろうなあ・・・。無邪気に笑っている息子の顔を見るたび、来週の月曜日の来るのがいやだった。

●そしてその恐怖の月曜日が来てしまった。私は息子をベビーカーに乗せて重い足取りで家を出た。息子は無邪気に笑っている。しかしあと10分もしないうちに息子は大泣きするに違いない。何も知らないでベビーカーに乗っている息子よ・・・このおやじを許してくれ!

●そう、今日は息子を初めて「保育園」に連れて行く日だ。あそこの角を曲がると保育園。アーアとため息が出る。

●中にはいると他の子どもたちがバタバタしていて結構騒々しい。息子は「何事がおこったのか」という顔で呆然と突っ立っている。このすきに姿をくらまそうと思って出口を出た途端、息子の泣き声が聞こえた。思わず振り返ると、息子は格子戸にしがみついて泣いている。・・・・・・おやじの目からも熱い液体が出かかっている。ぐっとこらえて早足で通りに出たが、角を曲がるまで息子の泣き声が聞こえていた・・・。

●数時間後、息子を迎えに行くと、保育園の小さな庭で保母さんに付き添われて遊んでいた。おやじを見つけると何ともうれしそうな笑みを見せて私の方へ一目散にやってきた。こんなことをしばらく続けなければならないのかと思うとやりきれない気持ちだ。 また明日も泣くんだろうなあ・・・許してくれ、息子よ!



2001年11月某日 : 泣いてもだめだ、息子よ・・・

●最近息子は嘘泣きをする。まだ言葉が出ないので、自分の要求がいれられないときは、泣くことで意思表示をするのだろう。しかし、おやじから見ると、本当に泣いているのか、嘘泣きで要求を通そうとしているだけなのかはすぐわかる。

●残念だが息子よ、その手には乗らないよ。あんたのお袋さんはだませても、おやじは無理だ。あきらめな。

●ところで、9月中旬から行き始めた保育園もわずか2週間足らずですっかり慣れ、今ではいそいそと保母さんのところに抱きついていく。また人慣れしてきたせいか、知らない人にもニコニコしながら近づいていくようになった。

●特に、相手が1〜2歳の子供の場合、とことこ歩み寄って小首を傾げながら、「ン?君だーれ?」「それなーに?」みたいな顔をして笑っている。そんな姿は何とも微笑ましい。これはやはり保育園という社会に放り込まれた結果出てきたものだろう。

●成果というと、ご飯の食べ方もうまくなった。今まで家では親の方に「早く食べさせてしまおう」という意識が強いので、おやじがスプーンでご飯をすくって口に持っていってやってたが、保育園で訓練されたのか、自分でお椀を持ち、スプーンですくって食べようとする。まだぽろぽろ食べ物を下に落としながらではあるが、確実に進歩している。有り難いことだ。自分で食べてくれるようになったおかげで、ずいぶん食べさせるのも楽になった。

●頭の方も日々発達しているらしく、1歳4,5ヶ月のくせに私の想像をはるかに超えることをするようになった。
  • 私が顔を洗っていると、タオルを取ってくる
  • お腹がすくと(あるいはおやじが食事の用意を始めると)、スプーンを置いてある開き戸の前に行って、「うーん、うーん」と催促する
  • ゴミを持たせて「これを捨ててきて」というと、ちり箱に捨てに行く
  • 新しいおむつを見せると、そそくさと逃げていく

●おやじは以前、頭の中で「言葉が出るようになったら、いろいろなことを理解し始めるのだろう」と思っていたが、言葉が出るずっと前から、大人が話している言葉の意味を理解しているのが幼児だ。初めての子育てだから、そのあたりがどうも感覚としてわからない。よく世間の親は「うちの子は天才ではなかろうか・・・」と思うことがあると言うが、きっと幼児の能力に対する親の認識不足が原因だろう。大人が考える以上に幼児は何でもわかっているに違いない。

●ひとつ気になることがある。おやじに対する態度と、嫁さん(つまり母親)に対する態度がかなり違ってきたことだ。私の言うことはよく聞くが、嫁さんの言うことはなかなか聞かないし、わがままを言うらしい。嫁さんをなめているようだ。今から先が思いやられる。うちの嫁さんのようにわがままになったら大変だぞ!わがまま同士で収拾がつかなくなる。



2002年3月某日 : 必殺「顔面わしづかみ」

●「怪涜破車(かいとくはしゃ)」・・・この四字熟語の漢字が1つ間違っています。さあ、どれでしょう。 と言われても分かる人はそう多くはいないだろう。 答は「涜」の字が間違いで、「さんずい」ではなく「牛偏」だそうな。 (正式には「牛偏」に「売」の字の旧字体を使って、読み方は「トク」、意味は「子牛」という字らしい。) ・・・ワープロの辞書にない字なので、ここでは「怪トク(子牛)破車」とでも書いておこう。

●最近新聞でこの言葉に出会い、その意味を知ったとき、「ああ、俺の息子のことだ・・・フーッ(ため息)」と思った次第である。新聞によるとこの故事成語の由来はこうである。
あるとき、暴れん坊の射撃の名人が人を殺した。人々は男を死刑にするべきだと主張した。でも王様は「元気のよい牛は車を壊すこともあるが、しばらくは彼の乱暴に目をつむり、我慢して様子を見よう。あれだけ暴れる力を持っているのだから、将来は立派な牛になるだろう」と諭した。
そこから転じて「乱暴すぎる子供は、将来大物になる可能性がある」ということらしい。

●さて私の息子のことである。こやつの乱暴ぶりといったら、周りの大人が皆あきれるほどすごい。「乱暴」と言うより、エネルギーの固まりと言った方がいいかも知れない。そのエネルギーが、時には四方八方に行ったり来たりし、時には一点に集中したり・・・、と言えば聞こえはいいが、要は好奇心が強すぎ、あっちこっち引っかき回すかと思えば、独占欲が強く、一度手にしたものは絶対はなさない。そして頑固である。自分の主張を通すためなら、年長の子供に対しても迷わず暴力を振るう。・・・ アー 誰に似たのか・・・(もって生まれたものなのか)

その1・・・おやじは毎朝息子を連れて保育園に行く。園につくと顔見知りの子供が近寄ってくることがあるので「おはよう」と声をかける。するとすかさず息子が気づいてトコトコやってきては、その子の顔を手で鷲づかみにして泣かせてしまう。 (その子におやじを取られるとでも思っているのか・・・)

その2・・・自動車や船など丸いハンドル(舵)のついた乗り物が好きな息子は、一度ハンドルをつかむとなかなか離さない。他の子がやってきても夢中で回している。「ほら、かわってあげなさい・・・」と言っても断固としてそこを動かない。無理に他の子が割り込もうとすると、また必殺の「顔面鷲づかみ」を繰り出して泣かせてしまう。

その3・・・公園で遊んでいると、必ず他の子の乗り物やおもちゃをトコトコ歩いて取りに行く。その子が逃げてもしつこく追いかけ回す。よその子がブランコに乗ると自分も乗りたがり、ボール遊びを始めると自分もボールを追いかけ回す。そのしつこさと言ったら、よその子の親があきれて「○○ちゃん、もう帰りましょ!」と言って帰ってしまうほどだ。

その4・・・嫁さんが育児仲間や旧友と子供連れで会ったりすると必ず、「今日は○○ちゃんを押し倒して泣かせた」「●●君の顔を鷲づかみして泣かせた」という報告ばかりが来る。(3月に2週間、嫁さんと九州の実家に里帰りした息子は、合計7人の幼児と遊び、7人全員を泣かせたと報告があった。) たまには「▲▲君に泣かされた」という報告は来ないものか・・・


●親としても決して黙って見ているわけではない。他の子を押し倒したり、「顔面鷲づかみ」をやったらすぐに大きな声で叱るし、鷲づかみした手を叩くし、時には本人の顔を逆に鷲づかみして痛さを実感させたり、・・・と様々に「教育」しているつもりである。 しかしいっこうに効き目がない。 なにせ、生後10ヶ月で泣きながら親に反抗し続けた「頑固者」である。 そう簡単には言うことを聞いたりはしない。 それでも世間ではこれを「親の教育がなってないからだ!」というだろう。 

●しかし、「生後10ヶ月の頑固者」にどうやって「そんな頑固者ではいけないぞ」と教えられただろうか? まだ1歳半の幼児にどうやって「おやじが他の子と話していても、おやじを取られるわけではない」とわからせることができるのだろうか?まだ言葉が出ない息子にとって「暴力」以外に自分の要求を表現できる方法があるのだろうか?・・・

●「怪トク(子牛)破車」の王様は言った。「元気のよい牛は車を壊すこともあるが、しばらくは彼の乱暴に目をつむり、我慢して様子を見よう。あれだけ暴れる力を持っているのだから、将来は立派な牛になるだろう」と。しかし、その子牛がその後立派な牛になったかどうかは定かではない。・・・おやじの悩みは尽きない。



2002年5月某日 : ずる賢い奴

●息子はまだうまくしゃべれない。 しかしこちらが言うことはほとんど分かるようになっている。 そうすると子供なりに、気に入らないことがあると様々な手段を使って親の言うことを聞かなくていいように物事を運ぼうとする。 そのずる賢さといったら、「これが2歳にもならない幼児のやることか!」とあきれてしまう。

その1・・・親が叱ると、ぷいっと横を向いて目を合わせようとしない。おい、その態度は何だ、親のいうことはちゃんと聞け!

その2・・・わがままを通そうとするときは、嘘泣きをしながら横目でおやじの顔をちらっ、ちらっとうかがう。 ふてー野郎だ!誰に教わった!

その3・・・食事の時、 食べたくない物を無理に食べさせようとすると、前の一口を飲み込まないで「まだ食べてるよ!」というように口をアーンと開けて見せ、食べられないことをアピールする。 そのくせ好物の時はすぐ飲み込んで「ほら、もう食べたよ、次ちょうだい!」と空っぽの口を開けてアピールする。 おまえ保育園でもそんなことをやってるのか?

●しかしいくらずる賢いといっても、息子のかわいさは1グラムも減らない。 日曜日に息子を膝の上にのせ、マンションの下を通る車を見付けては「ブブーッ、ブブーッ」と指さして目を輝かせている息子を抱いているときが

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