おやじの子育て奮闘記(3歳)


2003年7月某日 :  一番偉いのは誰?

●あっという間に3歳の誕生日も過ぎ、一段と腕白になりつつある息子。 そろそろイヤイヤ病が始まりつつある。 ここで甘い顔を見せたら後々大変だ、とオヤジは心を鬼にして日々格闘している。 我が家の家族関係は、ジャンケンに似ている。

息子はパパの言うことは聞くが、ママの言うことを聞かない。
ママは息子の言うことは聞くが、パパの言うことを聞かない。
パパは息子の躾は出来るが、ママの躾はこわくて出来ない。

我が家で一番偉いのは誰?  てな感じだ。


2003年8月某日 :  歌う父子

●生まれたときからよく歌を歌って聞かせている影響で、息子は歌が好きだ。 朝、保育園に行くときはこんな具合・・・

(自転車置き場で) 
オヤジ : あ、カラスがいるよ。
息子 : カラス、歌う
一緒に : かーらあすー、なぜ泣くの、からすはやーまーにー・・・・・いーい子だよー

(信号待ちで)
息子 : あ、ごっつんこ(蟻)いる・・・・・ごっつんこ、歌う
一緒に : あんまり急いでごっつんこ、アリさんとアリさんとごっつんこ、 あっちいってチョンチョン、こっちきてチョン、・・・

(曲がり角を曲がって)
息子:あ、すずめ、いた・・・・・・・チッチッチ歌う
一緒に : すずめ、すずめ、お宿はどこか、チッチッチ、チッチッチ、こちらでござる、お爺さんよくおいで、・・・・・

(保育園のそばで)
息子 : きょうはチョウチョいなかったね。・・・・・チョウチョ歌う
オヤジ: もう、すぐ保育園だから、・・・・
息子 : 歌うのぉ!
一緒に : ちょーちょ、ちょーちょ、なのはにとまれ、なのはに
オヤジ : はい、着いた。 また明日歌おうね!
息子 : ウン!歌おうねー



●といっても、オヤジは何も息子を歌手にしようと思っているわけではない。 第一、息子はまだ音程がなってない。もしかすると音痴かも知れない。 何歳で音程の感覚は備わるのだろう? モーツァルトは、3歳でピアノを弾いたとか何とか聞いたことがあるが、うちの息子は、まだ青筋たてて大声を出している程度だ。 とてもじゃないが音楽家の素質があるようには思えない。・・・・



2003年11月某日 :  不運な子、幸運な子 (その1)

●ことの起こりは11月1日。 住んでいる地区の幼稚園の願書受付日だった。 それまで9月、10月といくつかの幼稚園を見学し、
  • O幼稚園は 外で遊ばせたがらないから パス
  • H幼稚園は お受験ぽいところなので パス
  • T幼稚園は 延長保育がないから 無理
というわけで、結局自宅から自転車で10分ほどの所にあるS幼稚園に願書を出すことにした。 これといって「売り」のある幼稚園ではないが、その普通さ、まともさがオヤジも嫁さんも「安心!」ってなわけだ。おまけにそこには、昔オヤジが塾で教えた女子生徒が、幼稚園教諭となって働いているらしい。 「これも何かの縁だろう!」というわけで、願書を出しに行ったのだが、・・・・

●どういう訳か今年に限って希望者が殺到。倍率2倍。少子化のご時世というのに、何で幼稚園の倍率が2倍なのよ!と怒ってみても仕方がないが、とにかく息子を連れて面接会場へ。 面接では、他の子供たちと一緒に歌ったり、お遊戯したり、自分の名前がちゃんと言えるかチェックされたり、と様々なテストがある。

●ところがうちの息子ときたら、いつも保育園や自宅では傍若無人に振る舞っているくせに、知らない場所で、「やれ歌え、やれ踊れ」といわれても、固まってしまってなーんにもできない。 先生との1対1の面接でも

先生:お名前は?
息子:・・・・・ウーン・・・・
先生:あれ、お名前は何かな? 先生に教えて?
息子:・・・・・(とオヤジの方をちらっと見て「この人だーれ?」ってな顔)
先生:ボクの歳はいくつかな?
息子:・・・・・わかんない・・・・・(オイオイ)
先生:じゃあ、ご本を見ましょうね。(うさぎのページを見せて) これは何かな?
息子:・・・・・・・わかんない・・・・(オイオイ、ウソつくな!)
先生: それじゃあねえ・・・(果物のページでバナナを指さして) これは何かな?・・・・・食べた事ある?
息子:・・・・・わかんない・・・・(いつも食べてるだろうが、こいつ!)
先生:そうか・・・・・それじゃ・・・・(車のページで、バスを指さして) これは何かな?
息子:(急に興奮して)黄色いバスとダンプと、・・・・ウーパトカーと、ベンツと、・・・・・消防車と・・・・・あ、お父さんの車もある!・・・・
先生:自動車が好きなんだ・・・
息子:ローバーミミ(ミニ)とスプッテワゴン(ステップワゴン)とジガシー(レガシー)も持ってるよ!
先生:ふーん、すごいね。・・・じゃ、最後にお名前教えてくれるかな?
息子:・・・・・・・・・・・・わかんない

という具合で、さんざんな面接だった。 それが影響したのかどうか分からないが、結局S幼稚園はふられてしまった。

●制度上、幼稚園は1カ所しか受けられないので、この時点で事実上、幼稚園浪人となったわけだ。 何と運のない息子よ! これじゃこの先、高校や大学の受験が思いやられる。

●朝、自転車の前の荷台に息子を乗せて、保育園に送っていくとき、その後ろ頭を見ながら、「何でおまえが落ちるのかなあ」と考えるたびに息子が無性に不憫に思えてくる。 「別におまえが悪い訳じゃない、運が悪かっただけなんだ・・・・」と自分に言い聞かせるしかないオヤジであった。



2004年3月某日 :  不運な子、幸運な子 (その2)

●息子を預かってもらっている私立保育園は もう通い始めて2年半になる。あっという間だ。 しかし最近、息子は少し退屈に感じるらしい。 先生方には非常に良くしてもらっているのだが、 息子にしてみれば、園庭がないので思いっきり暴れられない。おまけに今まで遊んでもらっていたお兄さんたちが、幼稚園に転園したりしていなくなり、遊び相手が少なくなってきた。 というわけで息子はエネルギーの発散がうまくできなくなっているようだ。

●そこで広い園庭を持ち、園児も多い公立の保育園に申請を出してみることにした。 ただ申請者が非常に多いので、入れる見込みはほとんどない。 例えば家から一番近いN保育園。募集人数4人に対して、すでに待機児童が20人・・・・という具合。 とてもじゃないが息子が入れる余地はなさそうだ。

●しかし、ねらい目が1つだけあった。 保育園が1つ新設されるらしいのだ。その新設S保育園の募集人数は20人。家からも何とか通える距離にある。 オヤジはこれ幸いと
  • 第1志望 : 新設のS保育園
  • 第2志望 : 近くのN保育園
で申請しようとしていた。ところが嫁さんから「待った!」の一声。 「一番近いN保育園じゃなきゃ、嫌だ!」と例によってわがままを言い始めた。 嫁さんが一度わがままを言い始めたら、いくら説得しても無駄なので、その時点でオヤジはあきらめましたよ。「公立保育園にも入れないか・・・」 

●そもそも4人の募集に募集前から20人以上群がっているところに、どうやって入れるのよ。 それだったら、少しでも望みのある新設のS保育園にするべきじゃないの?・・・・・そんな理屈も我が家では通らない。 やれやれ、無駄だと知りながら申請書を書き、面接に行く身のむなしさ…。息子よ、おまえは本当に運に見放されているなあ・・・・・。

●と、と、ところがである。な、な、なーんとN保育園に入れたのだ。蓋を開けてみると、募集人員4人に加え退園者などでさらに枠が4人分増えて、合計8人の募集枠となり、ぎりぎりで入れてもらえたらしい。(一方新設のS保育園には想像以上に応募者が殺到し、我が家が申請しても無駄だったろうと、区役所の担当の人が言っていた。) 

●わがままを言った嫁さんが偉いのか、そのわがままをじっとこらえて申請を出したオヤジが偉いのか…。 とにかく息子は4月から広い園庭で走り回れることになった。 おまけに家からとても近い。 何と運のいい息子よ! 11月にS幼稚園にふられはしたが、近くのN保育園で思いっきり遊べるんだ。幼稚園だろうが保育園だろうが、思いっきり走り回れればおまえは幸せだろう。 結果よければ全て良し!



2004年4月某日 :  先生方、有難うございました。

●2年半にわたり、息子がお世話になったSK園の先生方、長い間どうも有難うございました。息子は元気でN保育園に行っています。 

●3月の発表会の時、いつも体いっぱいで踊る息子が、舞台の上では氷のように固まって動かなかったのがとても印象的でした。慣れたところでは傍若無人、不慣れなところでは無口でおとなしいという、息子の本性が丸出しになった感じでしたね。 これまで色々とご迷惑をかけたことだろうと思います。


●発表会の帰り際、会場の外でやっていた「似顔絵コーナー」で、息子の絵を描いてもらいました。 このページに貼り付けておきますので、後日「え?ヤスってどんな子だったっけ・・・・?」ということがあれば、このページを見て思い出してください。 (もっとも、うちの息子ほどの悪ガキ、そう簡単には忘れられないでしょうが・・・・・)

   (先生ありがとうございました。 うそ泣きのヤスより)


2004年 5月某日  化かし合い

●息子は非常にずる賢い。 3歳のくせに心理戦が得意な作戦家である。

●ある夜のこと・・・・・その日は私の布団の中で息子を寝かせることになっていた。 (嫁さんは体の具合か何かが悪かった) しかし息子は「どうしてもおかあさんと一緒に寝たい」といって言うことを聞かない。 そんなわがままを言ってはダメだ、と叱ったりなだめたりしてやっとオヤジの布団の中で寝かせたが、「寝たな」と思って油断すると、ぱっと起きて嫁さんの方に行こうとする。その腕をつかんで引き戻してまた寝かしつける・・・・ということの繰り返し・・・・

●最後には息子も泣き出し、「もういやだ!おとうさんなんて、きらい!」と悪態をつきながらも、あきらめた様子でオヤジの布団の中にもぐり込んだ。

・・・・やれやれ・・・・疲れたぜ・・・・・早く寝てくれよな・・・・ZZZZZ・・・・ん?・・・・・息子少し動いている・・・・
息子の頭がオヤジの胸の所から少し下がっておへその所に来た。
・・・何をやっているんだ、こいつ・・・・息苦しいだろうに・・・・
と思って、息子の体全体を押し出して顔を布団の外に出してやった。
・・・・やれやれ・・・・・

●オヤジがウトウトっとする頃、また息子が布団の中にもぐり込んで丸くなった。 やれやれ、布団の中がそんなにいいのか・・・酔狂なやつ・・・ZZZ・・・

●またウトウトするころ、息子の頭がちょっとだけ動いて布団の奥に・・・
・・・こいつ何やってんだ?・・・・・ZZZZ・・・

●1,2分に一度息子は思い出したように体を動かす。それも必ず布団の中へ中へと体を入れていく。
・・・・???? こいつ、何かたくらんでいるのか?・・・ もしかしてオヤジに気付かれないように足もとから布団をすり抜けるつもりか・・・・となると、そのうち息子の頭はオヤジのおなか→オチンコ→太もも→ひざ・・・というように足もとに向かって移動していくはずだな・・・・いやいやそんな時間をかけてオヤジをだますようなまねはしないだろう。まだ3歳の子供だ・・・考えすぎだ・・・・・しばらく様子を見るか・・・・

●しかし、息子は徐々にその位置をずらし、とうとうオヤジのひざまで来てしまった。 これはまさしく親だましの悪だくみ。 何の逃がしてなるものか!とばかりに、オヤジは先回り。息子に気付かれないように布団から抜け出し、息子が出てくる場所に腕組みをして座っていた。

●と、まもなく布団の端からゴソゴソ出てくる息子・・・そこで目を合わせる親子!・・・そして息子の絶望した悲しそうな顔。・・・暗闇ながらその様子は手に取るように分かった。

●オヤジは一瞬考えた。ここまでやるとは敵ながらあっぱれ!逃がしてやるか・・・・・いやいや、ここで甘い顔をしたら後々つけあがるぞ・・・・そして結局、息子はオヤジと一緒に寝ることに。許せ息子よ!ここが躾の正念場。オトナにはまだかなわない、ということをわからせておく必要がある。

●さてさて親子の化かし合い。息子がオヤジを負かす日はいつ来るのだろう。 その日が楽しみでもあり、末恐ろしくもあり・・・・・といったところだ。



2004年6月某日   盗人

●その日は蒸し暑い夜だった。 夜中に仕事から帰ると、息子と嫁さんはもう寝ているらしく、寝室のドアが閉まっていて電灯も消えている。 「やれやれ今日は早く寝てくれたか。」と一安心。 夜中まで息子が起きていると次の日起こすのが やたら大変なのである。

●やっとくつろいで、テレビを見ながらおそい夕食を取り始めた頃だった。 蒸し暑いのでベランダのガラス戸を開けると、マンションの下の方から5歳くらいの女の子とおぼしき声が聞こえる。「・・・・・・・」何と言っているかわからないが、とにかく良く響く声で何かをしゃべっている。

オヤジ : こんな夜中に誰だ!おそらく向かいのマンションの子供だろう。親はどうししているんだろう・・・・

と思っていると、そのうちにお母さんらしき声が聞こえてきた。これも何と言っているのかわからないが、何か子供に話している。

オヤジ : まったくこんな夜中に何やってるんだろう。 ここは5階だからいいが、1階や2階の住人達は迷惑だろうに。あんなキンキン響く声で夜中に外でしゃべられたんじゃ、寝られないぞ・・・・・まったく、旦那はどうしたんだ。ちゃんと注意しろよな!

●その母子の話し声は、小一時間も続いたろうか。オヤジが夕食を食べ終える頃になると さすがにいつの間にか聞こえなくなっていたのだか・・・・。

●食事をすませ、歯を磨いて「そろそろ寝ようか」と思っていたその時だった。 入り口のドアが開いて、入ってきたのは何と・・・・・我が息子・・・・続いて嫁さん・・・・・オイオイ、さっきの話し声はおまえ達だったのか・・・・まったく何という近所迷惑な母子だ・・・・これじゃご近所に合わせる顔がない・・・・

  盗人(ぬすびと)を  捕らえてみれば  我が子なり


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